他社では届かなかった“もう一歩”
インクジェットプリンターによるレジストマスク形成は、フィルム工程を減らし、薬品使用量も抑えられる可能性がある一方で、実用化には銘板品質に耐えうる細線の再現性が特に求められた。以前に試した他社機では製品レベルに届かず、実用化には至らなかった。また、密着性を高めるためにプライマーを使用すると、真鍮本来の質感を損なってしまう点も課題だった。
そうしたなかで評価されたのが、XpertJet 1462UFであった。北村社長は『まず細い線の再現性が素晴らしかった』と振り返る。銘板に求められる精密な意匠に対応できる見通しが立ち、導入判断を後押しした。

代表取締役社長 北村 稔 様


金属製の表彰状やグッズなどを作成している

「鳳凰」の細線を表現する必要がある
プライマー不要のUS61インクが、金属銘板の
工程改革を後押し
導入の決め手となったもう一つの要素が、US61インクの特性である。同インクは、プライマーなしで金属素材へ直接印刷できるうえ、密着性に優れながら、エッチング後には剥離しやすいという特性を持つ。レジストマスク用途では、この「しっかり付いて、必要な時には剥がしやすい」という性質が大きな意味を持つ。北村社長も『プライマーなしで金属に直接印刷でき、剥がしやすい。真鍮の質感を損なわない』と評価する。単に印字できるだけでなく、素材の価値を保ちながら工程に組み込めることが、同社にとって大きな利点となった。
16工程から11工程へ、作業時間は最短15分に短縮
導入後、同社の製造フローは大きく変化した。従来16工程・約1時間を要していた作業は、11工程・最短15分へと短縮。5工程を削減し、工程全体の効率が大幅に高まった。なかでも現場の負担軽減に大きく寄与したのが、ピンホール修正工程がほぼ消滅したことである。従来、熟練者が手作業で対応していた作業負担が大きく軽減され、品質と効率の両立が現実のものとなった。また、立ち上げ段階では武藤工業のサポートと連携しながらRIP設定の最適化を進めた。現場に合った条件出しを重ねることで、安定した運用につなげている。
現在は300×365mmサイズの金属板を月平均200枚、XpertJet 1462UFのインクジェットマスクで処理を行う。大量・同一品番の案件では従来のフィルム方式も併用するなど、工程の特性に応じた使い分けが定着しつつある。


次の技術と商品を確立するために
今回の導入は、省力化や時間短縮だけが目的ではない。「面白いことがあったらやってみよう」という基本スタンスのもと、XpertJet 1462UFを使い社員が自由に実験・試作できる雰囲気を整え、さまざまな取り組みが行われている。北村社長は『技術があるうちに新しいものを取り入れる。すぐに出せる費用対効果だけで考えるのではなく、自社で技術と商品を確立するチャレンジをしたい』と語る。今後も、エッチング技術とインクジェット技術を掛け合わせ、新たな価値創出につなげていく考えだ。
[ 月刊サイン&ディスプレイ 2026年5月号掲載記事より抜粋・要約 ]
■掲載記事全文
お客様情報
- 会社名
- 岩戸ネームプレート工業株式会社 様
- 設立
- 昭和47年(1972年)
- 所在地
- 〒132-0025 東京都江戸川区松江4-27-15
- 事業内容
- 金属銘板の製作加工・販売、エッチング、アルマイト染色、シルク印刷、インクジェット印刷、プレス加工、DTP
- 公式ホームページ
- https://iwato-np.com/






















































































